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カナリアを飲んだ猫のような表情 [look like the cat that swalloed the canary]  【2009/08/04 20:02】 表現集
普通の辞書を開けば当然のように登録されている表現ばかりなので、特にここに載せる意義は薄いとは思うが、一応、猫にまつわる表現をリストにしておく。

・まず最初は、件名にあるlook like the cat that swallowed the canary(場合によっては、swalloedの代わりにate)。これは、直訳すれば、「カナリアを呑み込んだ(食べた)猫のように見える」という意味。僕自身は、カナリアを食べた猫を見たことがないが、よっぽど美味しいのだろうか、「満足そうな顔をしている」という意味になる。あるいは「大成功を収めたような満足げな顔」。次の猫はカナリアの羽根を咥えている。食べた後らしい。

cat that ate the canary

・nervous as a cat on a hot tin roof 「熱いトタン屋根の猫のように神経質な、そわそわした」
nervousを強調しているのだろう。「熱いトタン屋根の猫」は劇や映画でご存知のフレーズと思われる。tin roofでなく a cat on hot bricks(熱いレンガの上の猫)という表現もある。

・X is enough to make a cat laugh 「猫を笑わせるほどだ」、X is enough to make a cat speak 「猫をしゃべらせるほどだ」
前者は「それほど面白い」という意味になり、後者は「それほど美味しい・素晴らしい」の意味になる。後者の「しゃべらせるほど」の方では、Xに該当するものは特に上等な酒などがあたると辞書にはある。どうして酒に使われるのかは、分からない。そもそも、猫が酒を飲むかどうかも妖しい。飲みすぎるとトラになるのは分かるが(誰が上手いことを言えといった>自分:笑)

・Has the cat got your tongue? 「猫がお前の舌を取ってしまったの?」
そこから「どうして黙ってるんだ?」、「口がないの?」といった意味になる。これもなぜ猫が出てくるのか、想像がつかない。ただ、後で紹介するアニメに出てくる「舌を取った猫」の表情は抜群。

・let the cat out of the bag 「猫を袋の中から出す」
「つい秘密を漏らしてしまう」という意味。昔、猫を袋に入れて、ブタが入ってると称し売りつけたことに由来すると辞書にはある。

・like the cat that stole the cream 「クリームを盗んだ猫のように」
これは前出のカナリアの猫と同じく「満足した様子で」といった意味。ミルクを飲む猫は分かるが、その猫がクリームを舐めたら、やっぱりご満悦だろうなとは想像がつく。

・look like someting the cat brought [dragged] in 「猫が持ってきた(引きずってきた)物のよう」
要するに「ぼろぼろでみすぼらしい様子」という意味になる。以前、猫が小鳥を捕まえ、散々、遊んだ挙句、家の中に放置してたことがあった。殺された小鳥は、本当に悲惨な姿になっていたが、まさしくそんな様子を表しているのだろう。

・There isnot room / X has enough room to swing a cat 「猫を振り回すスペースすらない」
「とても窮屈だ、狭苦しい」という意味になる。まあ、状況も想像できる。日本語の「猫の額ほどの」という表現も同じ猫を使った同じような意味の表現だ。

・put/set the cat amond the pigeons [the canaries] 「ハト(カナリア)の間に猫を入れる」
当然、大騒ぎになるわけで、「騒ぎを引き起こすよう仕向ける」という意味になる。

・see which way the cat jumps [wait for the cat to jump]  「猫がどっちに飛ぶか見届ける (猫が飛ぶまで待つ)」
やはり猫は賢いと見られているのだろう。形勢を判断した後、行動する猫の様子を使って「形成を観望する」とか、「日和見をする」という意味を伝えているらしい。

他に、rain cats and dogs 「どしゃぶり」とかは有名なのでご存知かと。

***

このように辞書に載っている表現をわざわざここに並べたのはどうしてかというと、翻訳する場合、このような表現はどうすべきなのか迷ってしまうからなのだった。たとえば、カナリアを食べた猫なら、通例の翻訳なら、そのまま訳したりはせず、対応してあがってる訳語の「大変満足げな顔をしていた」と訳すのだろうと思われる。

だが、それでいいのだろうか?likeという語があることから分かるとおり、これは直喩表現なのだ。そのまま訳して何がいけないのだろうか? 直接には通じない危惧も生じるだろう。だが、そう感じた場合は、「カナリアを平らげた猫のように満足な顔をしていた」と少しだけ補足すればよいのではないだろうか? さらに、そういう直喩表現をそのまま翻訳し、日本語に移植することで日本語の表現も、その日本語を読む日本語話者の想像力も広がると思われるのだ。明治期あたりに翻訳していた頃は、そういう風にして日本語の幅を広げてきたように思うのだ。

というわけで、この手の表現はできるだけ原文の想像力を温存した翻訳をしたいと思うのだった。

***

ところでTex Averyというアニメ作家が昔、活躍なさっていました。3話構成だった番組「トムとジェリー」の第2話に放映されたアニメによく作品が出されていました。非常にイマジネーションが破壊的なアニメが多い。そのエイブリーの作品の中に Symphony in slang という作品があります。これは英語のスラング(というか、熟語)満載で、非常に面白いです。日本で放映当時、吹き替えで行われたはずで、そのときの翻訳に当たった人がどれだけ苦労したか、想像すると涙が出そうです。Youtubeで削除されずに残っているようなので、ここに埋め込んでおきます。

ちなみに、「舌を取る猫」は4:22のところと、最後に出てきます。また、土砂降りのrain cats and dogsは5:22のあたりに出てきます。




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