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中国に届くまで [all the way to China]  【2019/05/21 12:08】 表現集
アメリカにいる人のイメージとしては、アメリカにとって地球の反対側は中国辺りになるらしい。例えばアメリカのどこかから、どんどん穴を掘っていくと、やがて中国にまで届いてしまうというイメージ。これはもちろん事実ではなく、そんな穴掘りが可能だとして、出口はどこかの海だろう。ともかく、「中国に届くまで(all the way to China)」は、穴などについて「奥深く掘る」ことの誇張表現になる。さらに、そのような具体的な穴掘りのイメージからの拡張として、「物事の真相究明」とか「事実の掘り下げ」などといった「隠れた部分を究明・掘り下げていく」という文脈でも使われている。

Urban Dictionaryによると、上記のような「(掘り下げていくと)隠れたところまで見せてしまう」というイメージの拡張からか、主に女性の服装について、性器周辺までも見せてしまう非常に露出的な服装などの描写にも使われるらしい。

もちろん、そういうマイルドにエロティックな流れで使われることが多いのだろうけれど、アタクシが翻訳してるような露骨なポルノでは、むしろ物理的な本来の意味の「穴の深堀り」でのほうが多いと思われる。

なお、同じくUrban Dictionaryによると、この表現ができた起源は映画「チャイナシンドローム」である。偶然メルトダウンを撮影してしまったジャーナリストとそれを隠そうとする当局側とのサスペンス映画。メルトダウン→メルトスルーしてやがては中国までというイメージ。この映画(1979年)の公開直後の14日後にスリーマイル島の原子力発電所事故が起き、7年後の1986年にチェルノブイリ事故が起き、その13年後の1999年に東海村で事故があり作業員2名が命を落とし、その12年後の2011年に福島第一原発の事故が起きる。「チャイナシンドローム」の主演はジェーン・フォンダ。この頃はバリバリの反体制女優で活躍していた。

福島第一原発と言えば、東日本大震災の時に東京公演中だったシンディー・ローパーが取った行動は、被災地の洋楽好きには胸を打たれたものだった。そんなシンディにも、all the way to Chinaと歌う曲がある。最初のサビのところまでの歌詞は、こんな感じ。
"Hole In My Heart (All The Way To China)"

I've got a ticket, no turning back (切符は買った、もう戻れない)
My destination... (行先はというと……)
The sea of trouble, the land of pain (トラブルだらけ、苦痛の土地)
You're sending me where it always rains (あなたはあたしをいつも雨が降ってるところに行かせる)
Oh reconsider, I'm begging you, some hesitation (考え直してよ、お願い、少しは躊躇って)
I'm holding on to my sanity (必死に正気でいようとしてる)
I feel the beginning of emergency (危機が迫ってるのを感じる)
My hands are slipping, oh please don't let me fall into (手が滑る。お願い、手を離さないで、落ちてしまう)

This hole in my heart that goes all the way to China (中国まで届く、心の中の穴に)
You gotta fill it up with love before I fall inside of... (私が落ちてしまう前に、あなたの愛でこの穴を満たして)
This empty hole in my heart that goes all the way to China (中国まで届く、心の空っぽの穴)
And though you can't see the bottom, believe me it's a long way down (底が見えないけど、分かってよ、そこが深いの)



シンディ・ローパーは良い人だ。


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