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二重の意味を持たせた表現のことを言う。日本語だと「ダブルミーニング」という言い方の方が普通かもしれないが、英語では、「ダブル・ミーニング」より、この「ダブル・アンタンドレ」の方が多く使われる印象。Google検索でもこちらの方がヒット数が多い。
Wikipediaが詳しかった。二重の意味のうち、一つは性的な意味になっているのが多いらしい。
「生足の天使」Barelegged AngelというFlash Storyを例に、Double Entendresの例を見てみます。但し、解釈力・想像力が乏しいアタクシ個人の読みですので、見落とし・勘違い・深読みのしすぎがある点に注意。解釈は10人十色ということで。
原文を細切れにし、その訳文を並べて、みていきます。
He'd only demanded one, but she insisted he take both. He watched a second time as she reached under her coat and sent her hand on a slow upward journey to the only warm place in that frigid October bus shack. 彼は1本しか求めなかった。だが彼女は2本とも持ってってと言い張った。視線を戻した彼は、彼女がコートの中に手を入れるのを見た。彼女の手が、この寒々とした10月のバス待合所で唯一温かい場所へとゆっくりと這い上がる旅に出る。 最後のshackという語には、「小屋、掘っ立て小屋」などの意味のほかに、「同棲相手」などの意味もあります。前者の意味が表向きの意味で、「(バス停の)小屋」だとすると、後者の意味を裏の意味として、男の「相手の女」のことを指しているのかもしれません。
He caught her heat like a virus. But just before arriving at that lick-a-maid place he could almost taste, her fingers stopped. 彼女の体熱がウイルスのように彼に感染した。這い上がる彼女の指が止まった。彼が味わえたかもしれない、あのリッカ・メイド・キャンディ(参考)。その場所に辿り着く直前の位置で彼女の指が止まる。 最初の、caught her heat のところのheatですが、後にlike a virusとあるので、catch a cold(風邪を引く)に見られるような「感染体」として捉えている感じがあります。heatは文字通り「体温」かもしれませんし、woman in heat (エッチがしたくて、燃え盛っている女)の表現に見られるような、「熱を帯びた状態」を意味しているかもしれません。lick-a-maid placeは、「キャンデイのように甘い場所」という文字通りの比喩表現で捉えていると同時に、別のイメージもあって、lik-M-aid candyが、キャンディ棒を浸して(dipして)味わうお菓子だとすると、「ペニスという棒を浸して快楽を味わう場所=おまんこ」というイメージかもしれません。どちらにしても、その場所がアソコであるという点は変わりませんが。
They found the edge of her Matrix Black stocking where the soft elastic snugged a spunk-white thigh whose cock-raising sweetness he could only guess at. 漆黒のストッキングの伸縮性がある部分を見つけたのだ。溌剌と張りのある白い太ももを優しく包んでいる。その部分の、男を勃起させずにはおかない甘美さは、彼には想像することしかできない。 Matrix Blackはそのまま「本当の意味で黒い、漆黒の」という意味でしょうが、matrixには「母体・子宮」という意味があります。spunk-white thighのspunkにも、「溌剌として、元気が良い」と言う意味と「精液・スペルマ」という意味があります。ポルノ小説では、ほとんど後者の意味がもっぱらです。前者だと「ぴちぴちとして、肌に張りのある白い太もも」という意味だと思いますし、後者だと、「白濁を塗りこめたような白い色の太もも」という意味になると思います。
And then ... well then he had to imagine the slow, rolling, descent of her hidden hands until they reappeared from under her hem with their black harvest of rolled silk. そして、その後の彼女の手は・・・これも彼には想像することしかできないが、コートの中に隠れながら、ゆっくりと巻きながら下っているのだろう。やがてその手がコートの裾から姿を現す。丸めた黒いシルクという収穫物と一緒に。 ここは特に隠れた意味を見つけられませんでした。
She'd draped the first stocking, still warm, over the hard shaft of his gun. This one she pressed into his hands, but when he reached up, she stopped him. "Let me," she whispered. 彼女は、まだ温かさが残る1本目を、彼の拳銃の固い銃身に垂らした。ストッキングの上から押しつけるようにして、彼の両手に拳銃をしっかりと持たせる。彼が手を離そうとすると、彼女は押し止め、囁いた。 「私にさせて」 hard shaft of his gunは、文字通りの「拳銃の固い銃身」という意味が表向きですが、gun =ペニスは明らかで、hard shaftも「勃起した肉茎」でしょう。それを男自身にしっかりと握らせると。
She placed the stocking, still rolled, still humid with her scent on his head. Then she unrolled it slowly, slowly downward. Down over his matted curls, over his brow, his lips, his five-o'clock chin. 彼女は、丸めたままの、そして、彼女自身の香りでまだ湿ったままの、もう一方のストッキングをだして、彼の頭の上にあてがった。ゆっくり、ゆっくり、ストッキングの巻きを解きながら降ろしていく。もつれた巻き毛、額、唇、そして5時の角度のあごへと。 この2本目のストッキングは、明らかにコンドームを意味していると思います。包装紙から取り出したコンドームは丸められているわけで、それを頭部(=亀頭)に被せ、ゆっくりと巻きを解きながら被せていく情景が意味さていると思います。his five-o'clock chinというのは、時計で5時を指している角度のことでしょうか? 「あごが、少ししゃくれ上がっていて、5時の角度に見える」という意味と、5時を指している時計において、直立している長針は勃起した肉茎を、短針の方はペニスの下部、陰嚢へ通ずる角度を表しているのかもしれません。
And then she took his sheathed head with its flattened features and pressed her mouth to it. His lips instinctively parted, and he felt the tip of her tongue through the black silk. そして、ストッキングに覆われた、平たく変わった表情の彼の頭を両手で押さえ、それに唇を押しつけた。彼は本能的に唇を開いた。彼は、黒いシルクを通して、彼女の舌先を感じた。 sheath「鞘に収める」という語は、ポルノ小説では、「コンドームを装着する」の意味でよく使われます。sheathed headは、したがって、「コンドームを被せた亀頭」になります。それに口を寄せるわけですから、コンドームを被せてのフェラチオを表しているのでしょう。
He was young. He didn't mean for it to go off. But it did. And she smiled. 彼は若かった。彼は、それが放たれてしまうのを望んでいなかった。だが、それは起きてしまった。彼女は微笑んだ。 for it to go offのitが何を指すのか? go offは、「発射する」が普通の意味です。ここでは拳銃が出ていますので、「拳銃を暴発させた」のような意味とも取られるかもしれません。もう1つは、it = his cockと取って、「射精した」でしょう。ここでは、「射精した」の方が表向きの意味として自然だと思います。
He watched the framed profile of his barelegged angel as the number twenty-nine carried her into the night. He looked from the bus's receding taillights to the glowing 7-Eleven sign across the street. But his nerve had suddenly gone as limp as the prick in his wet Levi's. Fuck, and if he'd ever needed that pack of smokes it was now. 29号車が彼の生足の天使を夜闇に連れ去っていく。四角に縁どられた窓の中、彼女の姿を見送った。彼の視線は、遠ざかるバスのテールランプから、通りの向かいにある煌々と光るセブン・イレブンへと移る。だが、彼の意気は急に萎えてしまっていた。前面が濡れているリーバイスの中にある彼の分身と同じように。ちきしょう。もし彼が、たばこを必要とするなら、今こそ、その時だった。 framed profileには、葬式写真のようなイメージが感ぜられます。バスが霊柩車のようにも感ぜられます。裸足(barefoot)の人物には、亡くなった人のイメージもあるそうです。彼女は死んだ? 死んで天使になった? 表向きは、彼女がバスで先に行き、男は一人で夜のセブン・イレブンに強盗に入ることになっていたが、ヤル気を失くしたということなのでしょうが、裏の意味として、彼女が死んでしまい、意気消沈してタバコが吸いたくなっている(セブンイレブンにタバコを買いに行く)という意味なのかもしれません。
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